こんにちは、「借金解決ガイド」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
借金の返済が苦しくなり、消費者金融やクレジットカード会社への支払いを滞納していると、「給料を差し押さえられるのではないか」「会社に借金がバレてしまうのではないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
実際に、借金の返済を長期間滞納すると、債権者が裁判所に申し立てて給与を差し押さえる可能性があります。
給与が差し押さえられると、裁判所から勤務先に通知が届くため、会社に借金の存在を知られてしまうことになります。
ただし、借金を滞納したからといって、すぐに給与が差し押さえられるわけではありません。
また、差押えの対象となる金額には法律上の制限があり、生活費を確保するための仕組みも設けられています。
この記事では、借金による給与差押えの仕組みや会社に知られる理由、差押えの範囲、会社を解雇される可能性、差押えを回避する方法について司法書士の久我山左近が詳しく解説します。
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重要なのは、勤務先に債権差押命令が届く前に対応することです!


1.借金で給料を差し押さえられると会社にバレる?
給与差押えが実行されると会社に知られる
結論からいうと、借金によって給与を差し押さえられると、原則として勤務先に知られます。
給与差押えとは、債権者が裁判所の手続きを利用して、債務者が勤務先から受け取る給与の一部を強制的に回収する制度です。
給与を差し押さえる場合、裁判所から勤務先に「債権差押命令」が送達されます。
会社はこの命令に従って、差押えの対象となる給与を従業員本人に支払わず、法律に従って債権者への支払いなどに対応する必要があります。そのため、給与計算を担当する経理担当者や人事担当者には、給与が差し押さえられた事実が伝わります。
もっとも、会社のすべての従業員に借金が知られるわけではありません。
通常は、給与計算や差押えへの対応に関係する担当者が把握することになります。
借金の督促だけでは会社に通知されない
借金を滞納したからといって、すぐに勤務先へ連絡が入るわけではありません。
貸金業者による正当な理由のない勤務先への取立て行為は、貸金業法によって規制されています。
したがって、通常の督促段階と裁判所による給与差押えの段階は、明確に区別する必要があります。
2.借金で給料が差し押さえられるまでの流れ
一般的な消費者金融やクレジットカードの借金では、給与差押えまでに次のような手続きが行われます。
① 借金の返済を滞納する
返済期日を過ぎると、債権者から電話や書面などによる督促が行われます。
滞納が続くと、残っている借金の一括返済を請求されることもあります。
② 債権者が裁判所に法的手続きを申し立てる
督促に応じず、返済も行われない場合、債権者が訴訟や支払督促などの法的手続きを行う可能性があります。
裁判所から訴状や支払督促が届いた場合、放置することは非常に危険です。
③ 判決などの債務名義を取得される
債権者が確定判決や仮執行宣言付支払督促などの債務名義を取得すると、強制執行を申し立てられる状態になります。
なお、債務名義には執行証書などもあるため、必ずしも裁判で判決を取得する必要があるわけではありません。
④ 裁判所から勤務先に債権差押命令が届く
債権者が給与差押えを申し立て、裁判所が命令を発すると、勤務先に債権差押命令が送達されます。
この時点で、会社に給与差押えの事実が知られることになります。
その後、法律で定められた範囲の給与が差押えの対象となります。
3.給料はいくらまで差し押さえられる?
給与差押えと聞くと、給料をすべて取り上げられてしまうのではないかと心配する方もいるでしょう。
しかし、給与の全額を差し押さえることは原則として認められていません。
原則として手取り給与の4分の1まで
消費者金融やクレジットカードなどの一般的な借金では、給与の差押可能額は原則として手取り相当額の4分の1です。
ここでいう手取り相当額とは、給与から所得税、住民税、社会保険料などの法定控除額を差し引いた金額を指します。
例えば、手取り給与が24万円の場合、原則として6万円が差押えの対象となります。ただし、手取り相当額が月額44万円を超える場合は、33万円を超える部分が差押可能額となります。
具体的には、次のようになります。
| 毎月の手取り相当額 | 差押可能額 |
|---|---|
| 16万円 | 4万円 |
| 20万円 | 5万円 |
| 24万円 | 6万円 |
| 30万円 | 7万5,000円 |
| 40万円 | 10万円 |
| 50万円 | 17万円 |
※一般的な借金による給与差押えの場合です。養育費などの債権では異なる基準が適用されます。
ボーナスや退職金も差押えの対象になる?
毎月の給与だけでなく、ボーナスや退職金も差押えの対象になる場合があります。
ボーナスについても、原則として給与と同様の差押禁止範囲が適用されます。
退職金については、原則としてその4分の3が差押禁止となり、4分の1が差押可能です。
また、給与が銀行口座に振り込まれた後、その預金口座自体が差し押さえられる場合には、給与債権に対する差押えとは異なる取扱いとなるため注意が必要です。
4.給料を差し押さえられると会社をクビになる?
給与差押えによって会社に借金が知られた場合、解雇されるのではないかと不安になる方もいるでしょう。
しかし、給与を差し押さえられたという理由だけで、当然に解雇が認められるわけではありません。
労働契約法第16条では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効とされています。
個人的な借金や給与差押えだけを理由とする解雇は、一般的に正当化されにくいと考えられます。
ただし、会社に差押えへの事務対応が発生することや、職場での信用関係に影響が生じる可能性は否定できません。
特に、経理担当者や金銭管理に関係する職種では、職場での対応に不安を感じる方もいるでしょう。
そのため、できる限り給与差押えが実行される前に対処することが重要です。
5.借金による給料の差押えを回避する方法
給与差押えを防ぐためには、借金の状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
① 債権者と返済方法を交渉する
借金の返済が難しくなった場合、まず考えられるのが債権者との交渉です。
一括返済が難しくても、分割返済の合意が成立すれば、法的手続きを回避できる可能性があります。
ただし、債権者には分割返済に応じる義務があるわけではありません。
また、すでに差押えが行われている場合、返済交渉をしただけで差押えが解除されるわけではないため注意しましょう。
② 任意整理で借金の返済負担を軽減する
任意整理とは、司法書士や弁護士などが債権者と交渉し、将来利息のカットや分割返済などを目指す債務整理の方法です。
任意整理によって毎月の返済額を無理のない金額に調整できれば、返済を継続できる可能性があります。
また、債権者が合意すれば、給与差押えを回避できる場合もあります。
ただし、任意整理を開始しただけで強制執行が自動的に停止するわけではありません。
③ 個人再生で借金を大幅に減額する
個人再生とは、裁判所に申し立てて借金を法律の基準に従って減額し、原則3年間、事情によっては5年間で返済する手続きです。
個人再生には、住宅ローン特則を利用することで、一定の条件のもとでマイホームを維持できる可能性があるという特徴もあります。
また、個人再生では、再生手続開始決定後、再生債権に基づく給与差押えなどの強制執行が原則として中止されます。さらに、再生計画認可決定が確定すると、原則として中止されていた強制執行の手続きは効力を失います。
ただし、手続きの段階や債権の種類によって取扱いが異なるため、早めの相談が重要です。
④ 自己破産によって借金問題を解決する
借金の返済が困難で、今後も返済を継続できる見込みがない場合には、自己破産を検討する方法があります。
自己破産とは、裁判所に申し立てて、免責許可決定が確定することで、原則として借金の支払義務を免除してもらう手続きです。
破産手続開始決定後の強制執行の取扱いは、同時廃止事件か管財事件かなどによって異なります。
そのため、自己破産を申し立てたというだけで、必ず給与差押えが直ちに止まるわけではありません。
すでに給与差押えを受けている場合は、具体的な手続きの状況を確認する必要があります。
6.すでに給料を差し押さえられた場合はどうする?
すでに給与差押えが行われている場合でも、対処方法がまったくないわけではありません。
債権者に差押えの取下げを交渉する
債権者との間で返済方法について合意できれば、差押えの取下げに応じてもらえる可能性があります。
ただし、債権者が必ず応じるとは限りません。
差押禁止債権の範囲変更を申し立てる
給与の差押えによって生活が著しく困難になる場合、裁判所に対して「差押禁止債権の範囲変更」を申し立てる方法があります。
裁判所は、債務者の生活状況や債権者の事情などを考慮して、差押禁止範囲を変更できる場合があります。
例えば、扶養家族が多い場合や、病気などによって生活費が増加している場合には、事情に応じて検討されます。
ただし、申し立てれば必ず差押額が減るわけではありません。
司法書士や弁護士に相談する
給与差押えを受けている場合には、早急に法律の専門家へ相談することをおすすめします。
債務の総額や収入、財産の状況を確認することで、任意整理、個人再生、自己破産などの適切な解決方法を検討できます。
なお、司法書士による代理交渉には法律上の業務範囲の制限があります。認定司法書士が代理できる裁判外の和解交渉は、原則として個別の債権額が140万円以下の民事紛争に限られます。
7.給与差押えに関するよくある質問
Q.借金を滞納すると、すぐに会社にバレますか?
いいえ。借金を滞納しただけで、直ちに勤務先に通知されるわけではありません。
ただし、債権者が裁判所の手続きを進めて給与差押えが実行されると、勤務先に債権差押命令が届きます。
Q.給料の差押えはいつまで続きますか?
一般的な借金による給与差押えは、原則として債権者が請求している債権額が回収されるまで継続します。
1か月分の給与が差し押さえられたら終わるというわけではありません。
Q.転職すれば給与差押えから逃れられますか?
転職によって、従前の勤務先に対する給与債権が発生しなくなれば、通常、その勤務先からの給与を継続して差し押さえることはできなくなります。
しかし、借金そのものがなくなるわけではありません。
債権者が新しい勤務先を把握すれば、改めて給与差押えを申し立てる可能性があります。
まとめ|給料を差し押さえられる前に借金問題を解決しよう
借金の返済を長期間滞納すると、債権者によって給与を差し押さえられる可能性があります。
給与差押えが実行されると、裁判所から勤務先に債権差押命令が送達されるため、会社に借金の存在を知られてしまいます。
また、給与差押えは原則として毎月の給与から継続的に行われるため、生活への影響も決して小さくありません。
しかし、給与差押えが行われる前であれば、任意整理や個人再生、自己破産などによって差押えを回避できる可能性があります。
すでに裁判所から訴状や支払督促が届いている場合には、対応を先延ばしにせず、早急に対処することが大切です。
借金の返済が難しくなっている方は、給与を差し押さえられて勤務先に知られる前に、司法書士や弁護士などの専門家に相談し、自分の状況に合った解決方法を検討しましょう。
それでは、今回の記事の「借金で給料を差し押さえられると会社にバレる?差押えの範囲と回避する方法を解説!」というテーマについての解説は以上となります。
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それでは、久我山左近でした。












